里山盆栽日記 【day10】

2012/07/17 Tue

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すっかり変化がなくなったモミジ盆栽です
しいて言えば、若干葉の色が濃くなったかな……?という程度で、伸びたり葉が増えたりはしていません。
おそらく、枯れてしまうか紅葉するまでこのままだと思われます
夏は植物も暑いのでゆっくりお休みに入ります。
成長しませんので肥料効果は少なくなるため、置き肥は取り去ります。
秋になるまで肥料はお預けです
幸い、ここまで大きな異変もなく育てられました。去年の冬に取ってきたばかりなので、春の成長が抑えめでしたが、来年、環境にも慣れてくれれば成長の仕方も変わるのではないかと思います。
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葉先が少し傷ついてしまいました……
しかし、傷ついた部分を切り取ると、逆に枯れこんでしまうのではないかと心配なのでそのままにしてあります
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小さなお客さんが来たようです。
カタバミ(ウスアカカタバミ?)という雑草で、アスファルトの隙間などにワサワサ生えています。
近くから種が飛んできて発芽したんでしょうね。雑草というのはたくましいものです
植え替えの時には土が変わりますので、このカタバミも短い滞在になりそうです。
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クロマツの成長も止まりました。しかし、1年目は基本的に大きな成長になりませんので、このくらいかなという気がしています。
日当たりが良ければもっと伸びるのかもしれませんが、立地上どうしても難しいんですね……
マテバシイは出ないので、さすがにダメだと思います……
手前に見える紙のような棒のようなものは、ハエ取り紙を引き出したものです。
コバエに絶大な効果がありますが、蚊など別の生き物も捕らえてしまいます
害虫を捕獲しているうちはとても便利なアイテムです
右の方に銘板を挿してるものがありますが、食べた後のアメリカンチェリーの種を遊びでポットに植えてみたものです。
しかし、今は雑草が生えてくるばかりで動きはありません
寒さを経験する必要があるらしいので、発芽するのは来年になるかもしれません。
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ポットからあぶれた幼苗も枯れる気配はなく元気です。
小さい松林が出来上がっています

さて、本当の里山盆栽はモミジだけということで、これは淋しいとなってしまいました。
そこで、物は試しで許可を頂いて挿し木用のエゴノキの枝を頂いてきました。
前にも書きましたが、こういった枝などを勝手に取るのは犯罪ですのでくれぐれもお気を付け下さい。

6月は枝がしっかり伸びて、挿し木にもってこいの時期なのです。
ところが……
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成功する気がしません
右は3週間前(6/23)に。左は2週間前(6/30)に頂いたものです。
しかし、1週間持たずに葉がチリチリになりました……
右は色的にも完全に枯死したようですが、左はまだ葉緑素があります。
ありますが、これで根付く可能性が残されているのでしょうか?
挿し木って難しい……
もう梅雨も明けましたし、これ以降の差し穂取りはできませんので、完全な枯死までダメもとで培養してみます……

ちょっと悲しくなったので、100円ショップから仲間を招待してきました。
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上はパープルコンパクタ(コルディリネ・'パープルコンパクタ')。下はクロトン(クロトン・'リュウセイ')です。
盆栽ではなく観葉植物ですが、小さくてかわいいです
一般的に盆栽は夏場の管理が非常に大変ですが、観葉植物はその逆で、冬場の管理が難しいです。
これは、大半の観葉植物が熱帯の植物であるためで、寒さに弱いのですね。
ところが盆栽は基本的に日本の植物を扱うので、気候条件をそれほど選ばず、冬は自分で休眠します。反面、乾燥に弱いので、鉢がよく乾く夏場は管理が難しいのですね。

とはいうものの、こういった差はありますが、どちらも『植物を育てる』という意味では何も変わりません。
特に、立派なマツ盆栽を育てるというのならいざ知らず、雑木盆栽や小品盆栽はむしろ観葉植物に近しいものだと思ったりもします。
ある盆栽家の先生の、日々の暮らしにもっと盆栽を取り入れていいというお話もあります。
ですから、これはものの考え方で、盆栽というとどうしても高尚な趣味に聞こえてしまいますが、観葉植物のように気軽に扱っていいわけです。
色々な植物を育ててみたいけど……という方には、里山を大いに活用して頂きたいと思います。
ちょっとしたインテリアでも、里山を表現した盆栽・鉢植えでもどんな形でも構いません。
そこで、里山の恵み・おくりものといったことを少しでも感じて頂けたら、今日でも里山の役割は十分にあるということができるでしょう
里山の自然はもっと活用された方がいいと私は思います。
ましてや、生きたまま活用するというのはとても難しいものです。
盆栽はその答えのほんの一部であり、私たちももっと考えなければなりません。
今は私が代表してモミジを培養しているわけですが、里山には雑木盆栽として質の良いエゴノキやイヌシデ(盆栽ではソロという)がたくさんありますし、クヌギやコナラなどのドングリ種も実生材料としては優秀です。
このような樹木の活用の場をもっともっと広げたいものです。

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モミジも観葉植物のように、きれいに仕立てられるまで頑張りたいと思います

里山盆栽日記 【day9】

2012/06/06 Wed

20120530スギ
スギがもう全葉枯れたといってもいいような状態になりました。
残念ながら復活できず、栽培の難しさを思い知らされた次第です。

ありがとう、スギ……

20120530モミジ2
盆栽の苗木はこのモミジ一本となってしまい、早くもピンチではありますが、この子が元気いっぱいなのが救いです
置き肥は新しいものに取り換えています。梅雨入りしたら、お休み期間なので取ってあげる予定です
苗木の段階なので、葉も親木と比べると小さいです。
しかし、大きくなりすぎると蒸散量が増えて水切れが起こりやすくなります。
盆栽で一番重要なことは、なんといっても『水』です。
乾燥すると、あっという間に枯れてしまいます。
そのため、鉢の状態は特に気を配らなければならないんですね
梅雨の時期は、湿り気があるので乾き方はそんなに早くありませんが、夏場は朝夕2回水やりをしなければならないとされるほど乾きやすいので注意しなければいけません。

20120530モミジ1
よく見ると、葉柄と前年枝の付け根に芽ができています。
葉刈りをすると、これが起きだしてくるのでしょうか。
ともかく、成長のための芽を作ることには成功したようです。よかった!

20120530クロマツ1
クロマツがあまりにも苦しいので、ポットに植え替えました。
成長が良さそうな12本です。しかし、これですべてではありません
残ったものは、まだ鉢に植わってます。これをどうするかは未定です。
20120530クロマツ2
本葉も出てきました。
クロマツの成長も、そんなに早くはないですから、ゆっくり見守るとしましょう

里山盆栽日記 【day8】

2012/05/16 Wed


前回、植え替えを行って元気になってくれるよう願ったスギですが、残念ながら手遅れのようでした
20120516スギ
葉のしおれが戻らないばかりか、下枝が枯れてしまい、上葉も色合い悪く枯れ始めてきました。
おそらく、近いうちに枯死するでしょう…

スギには申し訳ないくらい負担を与えてしまいました。素人の浅知恵が招いた結果ですね…
これから梅雨入りするので、この状態から好転する可能性は低いでしょう。
完全に枯死してしまったら処分になります。

ごめんね、スギ・・・

20120516モミジ
モミジは元気です。しっかり葉も固まり、日光に照らされて瑞々しい姿になりました
元気がいいので、ひとつだけ置き肥を与えています。
骨粉や魚粉など、いろいろ配合された発酵油かすです。お茶パックにくるんで置いてあります。
くるむことで、悪臭防止(有機肥料なのでにおいがあります)、虫の誘引の防止、表土を汚さなくできるといった効果があるようなのですが、表土の汚れ以外はよくわかりません
2~3日に一度くらいはコバエが栄養補給にやってきます。ただし、群がったりはしてないです。独り占めしている姿がよく見られます。
家の中にも入ってきません。目の前においしいものがあるのにわざわざ室内に侵入して探す道理はありませんものね
また、この写真だとわからないのですが、肥料の下はカビがフサフサしています
有機肥料であるが所以ですね。化学肥料ではこういったことは起こりません。
カビたからといっても、問題が起こるわけではありません。未発酵の油かすでは、むしろカビないと肥料効果が無いのでカビは重要な存在です。効果にも期待ですね。

さて、梅雨入り前には葉刈りの作業がありますが、このモミジはどう見ても幼木なので、もっと太らせてもいいと思います。
そのため、今年の葉刈りは見送ることにしました。
この木もまだ観賞用には早いですからね。ゆっくり大きくしたいです

さて、里山盆栽ではありませんが、ちょっとした実験でクロマツの実生を試みてみました。
20120516クロマツ 20120516クロマツ2

生えすぎてしまいました
鉢が小さかったので30粒蒔いたのですが、20本以上も出てきました。
発芽率70%近く!すごい!
すごいと同時に困りました…
ここに蒔いたクロマツの種は、全体の1/10にも満たない数です。
まだ、数百粒の種が保存してあります
さすがにそんなにたくさんの管理はできません。というより、すでにこれだけでキャパ一杯です…
これ以上の実生は厳しいので、保存してある分は、今年も眠り続けてもらうことになりそうです…
さすがに取りすぎてしまったと反省ですね…
ちなみに、この用土には赤玉土と川砂を6:4くらいで使用しました。
もともと砂地に多い樹木なので、それに近づけるのが理想なのでしょうね。
盆栽の書籍にも砂を多めにと書いてあります。

20120516マテバシイ
最後にビニールポットに植え付けたマテバシイの紹介です。
鉢に直播するより、ポットに植えたほうが安心感があるのはなぜでしょう?
マテバシイは情報が少なくて、蒔き方が正しいのか今一つわかっていませんが、おおむねドングリの蒔き方には違いがないと思われます。
写真にはドンクリが写っていませんが、実際にはごく浅いところに埋めてあります。
マテバシイで気になる点は、発芽率が高くないということと、発芽に時間がかかるという点でしょうか。
とりあえずは、水を切らさないように見守ります。

里山盆栽日記 【day7】

2012/04/18 Wed


モミジはすごく元気なのですが、スギは一向に元気になりません。
やはり、用土と貼ったコケに問題があったのでしょうか

このままでは枯らしてしまいます。今一度元気を取り戻してくれることを願って、植え替えを行います

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このために桐生砂を購入しました。基本的に砂は排水をよくするために使うらしいのですが、桐生砂は保水性も併せ持っているんだそうです。
盆栽用土は、この桐生砂と赤玉土が基本だということを勉強しました。

それでは用土を作りましょう。
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まずは赤玉土をよくふるいます。最初は丸ごと使ってましたが、それではだめなようで…
ちなみに、ふるいに見えるのは料理用の裏ごし器です
ふるいは売っていませんでした
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しっかりふるうと、こんな感じで細かい粉が落ちます。これが『ミジン粉』と呼ばれるもので、ケト土のつなぎなどに使用します。
ですが、当分ケト土を使う機会はないので、今回この粉はゴミになります…
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桐生砂も同じようにふるいます。しっかりふるうことで、粒をそろえたり、目詰まりを起こす粉を落として、根の給水向上と呼吸を確保するんですね
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ふるい終えたらそれぞれを混合します。
今回は赤玉土を多めに、桐生砂とほんの少し川砂を使用します。
川砂は桐生砂のように保水性は無いので、バランス調整に使ってみました。
鉢内がベチャベチャでも良くなさそうですので、少しだけ排水を上げるという意味で気持ちほどですが…
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しっかり混ぜ合わせたら用土の完成です。
それでは植え替えましょう。

まずは、スギを鉢から出してみます。
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うわぁ…ゴテゴテですね…
このまま根をほぐします。
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根の長さ的には最初に鉢に植えこんだ時とあまり大差がないように感じます。
ただ、パサパサしている感じもありますし、小根もほとんどありません…
ごめんね…苦しかったよね…
これはかなり危険な様子なので、早速新しい鉢に引っ越しましょう。
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今回は駄温鉢浅底3.5号を使います。素焼き鉢より若干色が濃い目です。値段的にはそれほど差はありませんでした。
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まずは底にゴロ土(赤玉土の径の大きいもの)を敷いて…
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半分くらい用土を入れます。
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スギを植え付けて、用土を被せて完成
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ラベルに記録を取っておきます(4/5に行いました)
字がきたなくてすみません…
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最後にたっぷりと水を与えます
いまだにしょうゆ差し使ってます
個人的には非常に有用です。これ以上のものが見つかりません…

さて、植え替えてもすぐに生気がよみがえるというわけではありません。
少なくとも2~3週間は元気になるのを祈りつつ水やりを続けます。
また、コケ貼りは当分の間行いません。見よう見まねでは樹にダメージを与えるだけでいいことはほとんどなかったと思います
まずはしっかり育てることを大目標にしましょう。

里山盆栽日記 【day6】

2012/04/04 Wed

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日に日に成長を見せてくれるモミジです

今回は見栄えの良い盆栽にするために『芽摘み』を行います。
芽摘みの目的は主に3つありまして、

① 節間の詰まった枝にする
② 枝数を増やす
③ 枝の強弱を均一化する

といったものになります。
①は枝が長いとひょろひょろで盆栽としての見た目が悪くなってしまうんですね。そのために無駄に伸ばさない作業をするというわけです。
…しかし、このモミジは株を採集してきたものですので、発芽から数年経過していると見られ、枝がすでに長いですね
曲がりがかなり良い株なので、多少は目をつむり、これからの手入れをしっかりやりましょう

②は一度芽を摘むことによって、そこから2つ以上の芽が出てくることが期待できるんです。すると、小さくても立派な木の形にすることができるんですね。
もちろん増やしすぎるとその分栄養も必要ですし、日当たりや空気の通りも悪くなりますので、状態を見つつ期待するのがいいですね。
この素材は、枝が4本しかありませんので、もう少し枝が欲しいなーとは思います。一応、右に見える一概長い枝が2つに分かれそうなので枝自体は増えそうです。良い樹形を作りたいですね

③は今見えているように、芽の成長には差があります。葉が開いているものは1つしかありませんね。
芽摘みをすることで、この差を無くして、均等に成長させることができます。あまりにも成長が遅い芽は芽摘みをせず、成長を促してあげる方が良いそうです。
幸い、この株はすべての芽が起きているようですので、しっかり芽摘み作業を行うことができそうです

それではやってみましょう。

広がった葉の真ん中にある飛び出した芽をピンセットでつまんで…
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ぷちっと。(ピンボケですみません)

これで芽摘みはOKです
全ての芽がひらいて芽摘みが完了するまで続けます。大体4月の中旬頃までのようですが、今年はまだ寒い日がありますので、間延びしてしまう可能性はありますね。また、新梢(といっても、この株はすべて新梢の気がしますが…)が芽吹き過ぎるときは、止まるまで芽摘みを行うそうです。
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この春先というのは作業が多めで、冬の休眠期とは段違いです。がんばって見栄えの良いモミジを作りましょう
ちなみに、手前の芽はピンセットで先を割ってみたのですが、どれが芯なのかわからなかったのでもう少し開かせてみることにします
また、今年は植え替えを行わないことにしました。12月に植え付けたばかりですし、ちょっと時期を外してしまったので、来年の2月終わりくらいに植え替えたいと思います。
まだ、水の通りが悪くなったとは感じていませんので大丈夫でしょう。心配要素があるとすれば、やや腐葉土が赤玉土に比べて多めであることでしょうか。
とりあえず、このまま見守って、樹勢が良ければ油かすを6月頃投入。それまでは水切れを起こさないようしっかり育てます

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主に町田市相原の里山で活動中。相原里山再生プロジェクトから生まれた新プロジェクト。デザイン活動と、子どもワークショップが大好き。ベンチ・スピーカー台・小枝のえんぴつ・黒板・積み木などなど作ってきました。ひきつづき、剪定した小枝や間伐材を使って、木工ワークショップを行いながら、現代の里山のあり方を模索していきます。

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Author:koeda.plus
主に町田市相原の里山で活動中。相原里山再生プロジェクトから生まれた新プロジェクト。デザイン活動と、子どもワークショップが大好き。ベンチ・スピーカー台・小枝のえんぴつ・黒板・積み木などなど作ってきました。ひきつづき、剪定した小枝や間伐材を使って、木工ワークショップを行いながら、現代の里山のあり方を模索していきます。

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